バレエのタンデュ|正しいやり方を大人初心者さんにもわかりやすく解説 【用語と動きの解説 #2】

足を出すだけじゃない?奥深い「タンデュ」の世界へ
「タンデュって、ただ足をスッと出して戻すだけでしょ?」
そう思っていた方にこそ、ぜひ読んでいただきたいのが、今回ご紹介するバットマン・タンデュの基本と正しい動かし方です。
大人からバレエを始めた方にとって、タンデュは「地味でわかりにくい動き」のひとつかもしれません。でも実はこのタンデュ、どんなレベルのダンサーにとっても、クラシックバレエの要となる大切なエクササイズなのです。
🕊️この記事は、バレエ歴40年以上、大人の方の指導にも長く携わってきた講師が、経験をもとにお届けしています。
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目次
- バットマン・タンデュとは?意味と重要性
- タンデュの出す方向で変わる“使い方と意識”【前・横・後ろ】
- 正しいタンデュのやり方|感覚でわかるポイント解説
- よくある間違いと修正ポイント
- 大人バレエ初心者さんにおすすめの練習
- まとめ|“正しいタンデュ”が美しい踊りにつながる
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バットマン・タンデュとは?意味と重要性
「battement(バットマン)」は“打つ・動かす”という意味。
「tendu(タンデュ)」は“張る・伸ばす”という意味です。
つまり、バットマン・タンデュとは、「脚をまっすぐに伸ばして、床を滑らせながら動かす動作」のこと。
足を床に沿わせながらまっすぐに差し出し、また元のポジションに戻すこの動きの中には、バレエのあらゆる基本が詰まっています。
- 足先の伸ばし方
- 軸足の保ち方
- 正しいアンドゥオール(外旋)
- 筋力とコントロール
- 美しい脚のライン
こうした「バレエに必要な基礎力」を身につけるために、タンデュはとても重要なエクササイズなのです。
ジャンプやターン、ゆっくりとしたアダージオといった華やかな動きを美しく見せるためにも、まずはこのタンデュでしっかりと足を使う感覚を身につけることが大切。
一見シンプルで地味に見えるかもしれませんが、大人からバレエを始めた方にこそ、丁寧に時間をかけて取り組んでほしい基本です。
タンデュの出す方向で変わる“使い方と意識”【前・横・後ろ】
タンデュは、前(ドゥヴァン:devant)・横(ア・ラ・セゴンド:à la seconde)・後ろ(デリエール:derrière)と、3つの方向に足を出します。
いずれも「床を滑らせるように脚を差し出して、元の位置に戻す」動きですが、方向によって、足の出し方・使う筋肉・意識するポイントがそれぞれ異なります。
この違いを理解しないまま「ただ出して戻す」を繰り返してしまうと、筋力もラインも思うように育ちません。
それぞれの方向に合った意識を持つことで、正しい体の使い方と、美しい脚のラインが少しずつ養われていきます。
前方向のタンデュ(ドゥヴァン):かかとから
前に足を出すときは、かかとから前へ押し出すように進めます。内ももを前側に回転させるようにしながら、つま先は床をこするように動かします。
軸足に重心を保ったまま、動かす足のかかとがしっかり前を向くように意識しましょう。
足首を最大限に伸ばした位置で一瞬とどまり、つま先が軸足のかかとの延長線上にくるよう整えます。
横方向のタンデュ(ア・ラ・セゴンド):かかとから
横方向に足を出すときも、「かかとから押し出す」のがポイントです。前方向と同じように、内ももを前に回転させながら、脚を体の真横よりやや前方へと伸ばしていきましょう。
その際、骨盤は床と平行に保ち、動かす脚だけが遠くへスーッと伸びていくようなイメージを持つことが大切です。
特に意識したいのが、足を出したときの「甲とかかとの向き」です。
足の甲が少し後ろ(背中側)を向き、かかとの内側が前(おへそ側)を向いている状態が、脚全体が正しくアンドゥオール(外旋)されているサインになります。
足を出す「方向」だけに意識が向きやすいですが、足の甲とかかとの“向き”にも注目しながら、指の裏で床を丁寧にこするように滑らせていきましょう。
そうすることで、脚のラインが崩れることなく、スッと遠くへ伸びていく美しいタンデュになります。
後ろ方向のタンデュ(デリエール):小指のつま先から
後ろへ足を出すときは、小指のつま先から滑らせるように始めます。内ももを外側へ回転させながら、脚の後ろ側をしっかり使っていく感覚が大切です。
このとき、かかとが内側(軸足の方)を向いていないと、足がまっすぐに伸びず、ひざも曲がりやすくなってしまいます。
また、足裏が天井を向いてしまうような出し方にならないよう、つねに脚全体の外旋(アンドゥオール)を意識して行いましょう。
どの方向のタンデュでも、差し出す脚とともに、軸足の引き上げがとても大切です。安定感のある美しいタンデュを目指して、ぜひ意識してみてくださいね。
正しいタンデュのやり方|感覚でわかるポイント解説
①足の裏全体で床を感じながら滑らせる感覚
タンデュの動きは、最初はかかとからつま先まで、足裏全体で床を感じながら滑らせることから始まります。
動きが進むにつれて、やがて足裏の先端(ドゥミ・ポワント)、そして指裏で床を丁寧になぞるように動かすことが大切です。
この動きは、まるで「足裏で床をきれいにするように」、動きの中での足裏の接地感を意識して床を滑らせるイメージで行うと、正しいタンデュになります。
②最後は“つま先を伸ばしきった状態”で終える
「ドゥミ・ポワントで終わっていませんか?」
タンデュでは、つま先がしっかりと伸びきった状態――つまりポワント(つま先が床に触れる程度)、足の甲が出て、つま先が床にほんのわずかに触れるくらいまで伸ばすことが理想です。
指の腹で床を押さえつけるのではなく、つま先のラインを限界まで引き伸ばし、最小限の面積で床に触れている状態を目指しましょう。
足首や指の関節、足裏を丁寧にコントロールすることで、美しく洗練されたタンデュに近づいていきます。
③戻すときは「逆の順番」を意識して
タンデュで足を差し出したあとは、戻すときも丁寧に、出したときと“逆の順番”で戻していくことが大切です。
「つま先 → 指の腹 → ドゥミ・ポワント → 足裏全体」と、同じ軌道をなぞるように意識しましょう。
このときに気をつけたいのが、ひざを曲げたり、お尻を揺らしたりしないこと。
動かすのは“足だけ”です。
上体や骨盤はしっかりと安定させたまま、動脚のラインを保ちながら丁寧に戻すことで、美しいタンデュに仕上がります。
よくある間違いと修正ポイント
- ❌ひざが曲がる/甲が縮む
→ ひざを“張る”、”引き上げる”意識でしっかり伸ばし、指をリラックスさせて甲を送り出すようにしてみましょう。 - ❌先にかかとを上げてしまう
→ かかとは動き始めだけ床についており、「かかとで床をリードする」意識で滑らせ、途中で自然に床から離れていきます。 - ❌足先がドゥミ・ポワントで止まっている
→ しっかりポワントまで伸ばしましょう。“つま先だけが床”のイメージで。 - ❌骨盤が傾いて脚が短く見える
→ 骨盤は常に水平に保ち、脚を「遠くへ」「長く」出す意識で。
大人バレエ初心者さんにおすすめの練習
初心者の方は「1番ポジション」から段階的に練習していくのがおすすめです。
1. まずは前・横・後ろの出しやすい方向にタンデュで脚を出してみましょう
タンデュの基本は「脚をまっすぐに伸ばして、床をなぞるように差し出す」こと。
このとき、膝からつま先までがまっすぐ一直線のラインになっているかを確認しましょう。
足の向きが揃っていることで、見た目の美しさだけでなく、関節への負担も軽減されます。
2. ドゥミ・ポワントからポワントへ、つま先を丁寧に伸ばす練習
足を差し出す途中で止めて、ドゥミ・ポワント(足指のつけ根が床に触れた状態)を確認。
そこからさらに、足首と足指を伸ばして、つま先が床にほんの少し触れる程度までポワントへ。
ひざが曲がらないように意識して、足の甲をしっかり引き上げるように使いましょう。
3. 1番ポジションからの前・横・後ろタンデュを繰り返す
1番ポジション(左右のかかとを揃えて外向きに開いたポジション)で立ち、重心を安定させた状態から前・横・後ろにタンデュを行ってみましょう。
差し出す脚だけでなく、軸足もまっすぐに伸ばしたまま、上体がぶれないように意識して繰り返すことで、全身のバランスと筋力が自然と育っていきます。
ひとつひとつのステップを大切にしながら、焦らず段階を追って丁寧に取り組んでいくことが、上達への近道です。
まとめ|“正しいタンデュ”が美しい踊りにつながる
「タンデュはシンプルな動き」と思っていた方も、ここまで読んで「思ったより奥が深い!」と感じられたのではないでしょうか?
実は、タンデュが正しくできているかどうかで、その人の踊りの“質”が決まるといっても過言ではありません。
姿勢・脚のライン・音の取り方・舞台での歩き方──
すべてのベースとなるタンデュを、丁寧に見直してみましょう。
焦らず、少しずつ。
大人になってから始めたバレエでも、ちゃんと身体は変わっていきますよ。
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タンデュの次はジュテへ──バレエの基本を一歩ずつ深めましょう
タンデュを少しずつ体で感じられるようになったら、次は「バットマン・ジュテ」に進んでみましょう。
タンデュで身につけた、脚を伸ばす感覚や床を押す意識は、そのままジュテへとつながっていきます。
ジュテは、脚を“空中にのびやかに出す”ような動きで、バレエらしい華やかさがぐっと広がる第一歩。
初心者さんにもわかりやすく、動きの意味やポイントを丁寧に解説していますので、安心して読み進めてくださいね♪
👉 バレエのジュテ|正しいやり方をやさしく解説【用語と動きの解説#3】
さらに、バレエの基礎をゆっくり学びたい方へ。
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